毎年この台風シーズンになるとサーファーが海に流されたというニュースが必ず出てきます。これはもはや交通事故をなくせないのと同じくらい難しい問題だと半ばあきらめております。
しかし、これはクルマの事故と同じで、一度でいいから(決して死なない程度に)海で怖い思いを味わってみるのが何より予防効果のある策だと思っております。
私も大変お恥ずかしい話ですが、かつてはクルマで事故りまくって等級が1等級まで下がった経験があります。
そこから改心しまして、2014年8月現在、ようやく9等級になりました。それはさておき、サーフィンでも海の怖さを身をもって分かっている人とそうでない人というのは、海での振る舞いというのはまったく違います。
本日は私が過去に海でのサーフィン中に味わった怖い経験をお伝えし、これをお読みのあなたにもその経験を疑似体験していただくことで、少しでも海への理解が深まる一助になればと願っております。
【Case.01】片貝新堤のテトラに……!!
もう何年前のいつの季節のことだったかすっかり忘れてしまいましたが、その日は曇りの天気でかなり風も強く、片貝にも関わらず人もほとんどいませんでした。おそらく南風オンショアが強かった日なのだと思います。
片貝新堤の右側のテトラとテトラの間に人のいないポイントを見つけまして、ここなら心置きなく入れるかなと思い、軽い気持ちでパドルアウトしました。
当時はテトラの裏側に行ってはいけないということだけは知っていましたので、テトラとテトラの間の位置で波待ちをしておりました。
しばらく波に意識を集中して、ふと右側に目をやるとそこにはなんと大きなテトラポッドが!!
「このままじゃ吸い込まれる……!」
と一瞬にして血の気が引き、そこからは普段ではあり得ないパワーで猛烈パドリングをし始めました。
なんとかテトラのスレスレのところをすり抜けて岸へと上がりましたが、あのときテトラに気付くのがあと1分遅れていたらと考えると今でも身震いがします。
【教訓】流れの強い日にテトラの付近は禁物。
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【Case.02】八丈島のタコスポイントにて
はじめて八丈島に行ったときのこと。
ビジターが入るタコスというポイントではそれなりに混雑していたのですが、入ってからしばらくしますと、サイズも流れも強烈になってきました。
従ってその日はサーフィンをあきらめて上がろうとパドルしたのですが、片道15分かけて沖に出るポイントだけに、帰りはさらにしんどくなります。
しかし帰れるのは己の力のみなので、黙々とパドリングするしかありませんでした。
道中、近くにいたサーファーから「どうやって戻ればいいのですか?」と聞かれましたが、私には
「こっちに向かって漕ぐしかありません。」
と答えるのが精一杯でした。
しかし岸は見えどもいつまでたっても近づかず、これはもうダメなのかと半ば思いかけたくらいのときにフィンが玉石にゴリッと当たり、岸が近づいたことがわかったのでした。
岸に着いた直後はしばらく立てずに、そのまま横たわっておりました。
今になって思いますが、八丈島のあの海には人知れず海の藻屑と消えたサーファーが
毎年1人や2人はいるのではと本気で思うほどの恐ろしさでした。
【教訓】ポイントでは戻る体力も計算すること
【Case.03】バリのヌサドゥア沖にて
2009年3月にバリに行ったときのことでした。
最終日にガイドにヌサドゥア沖にボートで連れてってもらい、それまでの3日間はみっちりサーフィンしていたのもあって、それほどビビることなくパドルアウトしました。
が、いざセットがやってくると目の前で炸裂するダブルオーバーの波!
素直にビビりました。
緊張のあまり体も硬直し、楽しんでサーフィンどころではなくなりました。
ミドルサイズの波に意を決してテイクオフしたものの失敗してワイプアウトし、そのまま今まで味わったことのないパワーとスピードで岸へと巻かれました。
なんとか足のつく場所までたどり着き、周りに目をやるとまたもや目の前にセットが!
今度はショアブレイクが炸裂するゾーンに巻き込まれてしまったようでした。
そこからは泳ぐのと這うのとでようやっとインパクトゾーンを抜け、ほうほうの体でボートへ戻ったのですが、そこでガイドに頭から血を流していることを言われ、そのまま生まれて初めて海外で病院送りとなったのでした。
いや、むしろ頭を怪我しただけで無事だったと感謝しているほど、かなり無茶な1ラウンドだったと思いました。
【教訓】入らないという選択をする勇気を
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おわりに:サーフィンは自分の判断で事故を回避できる
以上、今回は私の経験した3つのケースをご紹介しましたが、いずれのケースも私自身の判断ミスによるものが原因です。
クルマの事故はもらい事故で死亡する可能性もありますが、サーフィンの場合は危なくなる前に海から上がることや海に入らないことで事故を未然に防ぐことが出来ます。
これを読んだ皆さまが海で命を落とすことが決してなきよう祈るばかりです。